Be happy. - ATARIYA is NOT DEAD. tour final @ Shimokitazawa Shelter 2010.11.13
STAn史上、もっとも真摯な歌が響いた日
これほどまでに、鋭く研ぎすまされた彼らのライブは観たことがなかった。STANのNを小文字に改名し、初のアルバム発売を間近に控えた時期に開催されたSTAnのワンマン・ライブ。ここ最近のライブと同じように、「After all」でスピード感のあるスタートを切った。が、いつもよりも静かに、すさまじい集中力で歌い上げるkygの姿に、いきなり圧倒される。なだれ込むように「S.T.An」「Dolphin Dance」と、ライブでの定番曲が次々に披露されていく。「Born to be mild」のサビでは客席が大きく揺れ、大きくアレンジが変わった「ダルい男」のかっこよさに驚かされる。細かいリズムを刻むベースラインが、グルーヴを増幅させているかのようだった。
「Dragon Dance」「Ice candy」「Rough diamond future」と、昨年発表された曲たちが立て続けに演奏されていくのを聴きながら、2010年のSTAnは、ライブの核となる楽曲を数多く生み出したのだなあ、と、改めて感慨深くなる。
そんな中、この日唯一披露された未音源化の新曲が、衝撃だった。「大人になれば」と題されたこの曲が、明らかに、これまでのSTAnとこれからのSTAnをはっきりと分けてしまうような、それほどの名曲だったからだ。そのタイトルが示すとおり、大人になってわかったことと、大人になってもわからなかったこと、年を重ねていくことの切なさや愛おしさが眩しく描かれた楽曲だ。正直な言葉で綴られる歌詞が、高いキーで歌いあげるサビが、なんて美しいのだろう。こんなにもまっすぐなSTAnを、はじめて見た。
沸々と沸き上がる、青い炎を連想させるかのような張り詰めた雰囲気が、ライブが終盤に向かうにつれ徐々に熱く、激しいものへと変わっていく。エムちゃんのベース・ソロ曲「毘沙門天」、猛スピードで駆け抜ける「KYGのイチゴジャム」、そして「Nazca」を立て続けに演奏した本編ラストで、会場の温度と盛り上がりがついに最高潮に達した。
アンコールは「ULTRAMAGNETICSTANS」!
STAnのファースト・インパクトとも言えるこの曲に、客席からは大きな歓声が響く。彼らの“かっこよさとおもしろさ”のバランスはこの頃からすでに秀逸だったのだと、改めて思い知る。そしてダブル・アンコール、最後に演奏されたのは「THE SONG」だった。まだ世間が正しくSTAnを認識できていなかった頃、最初に彼らが正当な評価を受けるきっかけとなった名曲だ。どこか晴れやかな表情で歌い、演奏する3人の姿が、あまりに素晴らしく、目に焼き付いた。
翌日になって、メンバーのブログで明かされた事実だが、このライブの前日まで、kygは1曲を歌い切ることすらままならないほどの体調不良に見舞われていたのだという。これまでに観てきたライブの中でも、とりわけまっすぐに伸びる声であの曲数を歌い切った、その前日の話である。にわかには信じがたかったが、その一方で思わず、笑みがこぼれそうになった。映像の収録を中止するかどうか、それすらもギリギリだった瀬戸際の状況で、彼らはライブを決行することを決意し、見事やりとげた。その度胸と、天命を勝ち取る勝負事のセンス。
やはりSTAnは、ロックを味方につけたバンドだ。
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『Be happy. - ATARIYA is NOT DEAD. tour final @ Shimokitazawa Shelter 2010.11.13』STAn, バームクーヘン
2011年02月01日発売
1800円
- After all
- S.T.An
- Dolphin dance
- THE FIRE
- Born to be mild
- ダルい男
- J.D.
- Dragon dance
- Ice candy
- Rough diamond future
- I HATE YOU
- rock
- 多くの人達
- ALL BLUES
- 大人になれば
- Virginia sky, Endless stardust & Darlin'
- タイガーアイ
- 毘沙門天
- KYGのイチゴジャム
- Nazca
- ULTRAMAGNETICSTANS
- THE SONG
プロフィール
STAn
2000年くらいになんとなく結成。数々の困難を乗り越え、現在は過去 最高にゴキゲンな季節を迎えている。
2009年3月にライブベストアルバム「Virginia sky,Endless stardust & Darlin'」をリリースした後は、持ち前の自由でいい加減なところが加速。新作音源をフリーダウンロードで発表したり、ライヴが異様に盛り上がったりしている。
あと、何気に木村カエラに楽曲提供もしている。







